立場によって「経費で落ちる」の意味は違う<No 133>
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「交際費で落とす」「経費で落ちる」は本当にいいのか?
昔、よく飲食店での会計時に、「経費で落とす」という言葉を聞きました。
そして、言った方は領収書を社名でもらいます。
若いころは、この行為を「尊敬」と「疑念」の両面で見ていました。
「いいなあ」と思いつつ、「いいのかな?」と。
「経費で落ちる」の意味は立場によって違う
「経費で落ちる」の意味は、それぞれの立場によって異なります。
- ビジネスマン
- フリーランス
- オーナー社長
ビジネスマン
ビジネスマンは、業務上生じた飲食費などの経費を支払った場合、飲食店から領収書をもらいます。
そして、会社の経理で清算を済ませて、「立替払い」した現金の支給を受けます。
この場合、飲食などビジネスマンが行った行為が業務に関することが前提ではありますが、
そうでないケースもあります。
この場合、自分の身銭を切ることなく、個人的な支出が会社の「経費で落ちる」ことになります。
これが、私の若かりし頃の「疑念」であったのでしょう。
結論、ビジネスマンの「経費で落ちる」が意図することは、ビジネスマン自身が支出した支払を会社経理から回収することを意味しています。
フリーランス
フリーランスの場合、「支払をするのは自分」であり「経理をするのも自分」であり、かつ、「その金銭の出どころも自分」であることから、「経費で落ちる」と言うよりも。
むしろ、「経費で落とす」と言ったほうがいいでしょう。
フリーランスは、自分のお金なので、ビジネスマンのようにお金を取り戻すことを目的としていません。
フリーランスでいう、
「経費で落とす」とは、「決算での利益の計算上、使用したお金を『費用』として計算する」
ということです。
つまり、お金の回収ではなく、利益を少なくして税金を安くすることを目的としています。
ですから、仲間うちで割り勘で飲食をした後に、「誰か領収書いる?」との声に反応して受け取る人は、この部類に入ります。
オーナー社長
オーナー社長は、ビジネスマンとフリーランスの「あいだ」をいくようなものでしょうか。
ビジネスマンの場合、「ビジネスマン本人」「経理」「会社」の3者が登場します。
一方、フリーランスは、本人ひとりのみが登場します。
これに対して、オーナー社長の場合、
- 社長自身
- 会社
- 経理
と本来、3者に分離されているはずが、オーナーであるために、
2者にもなり1者にもなり得るケースがあります。
つまり、会社=社長や経理=社長にもなり得るのです。
3者であれば、ビジネスマンと同様に、1者であればフリーランスと同じようになります。
これが、社長=会社と経理の2者であれば、経理を他人にやってもらっているので、「ビジネスマンが、自分が支出した経費を会社経理から回収する」と同じように考えられます。
そしてもう一つの、社長=経理と会社の2者というケースは見られないでしょう。
(「社長が経理を自分でやるけど、オーナーではない」)
原則を理解しておくことは大事
法人税法上、交際費は、
「(省略)法人が、その得意先、仕入先、その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用をいう。」
と定義されています。
つまり、その支払が、「業務上の関わりのある人」との間で行った「接待などの費用」に該当すれば経費になるということです。
領収書があれば何でもOKということではないです。
「経費で落ちる」と言っても、あくまでも3者間での認識に過ぎないです。
本当の意味で「経費で落ちる」のは、税務調査をクリアしてからです。
そのためにも、顧問税理士とのコミュニケーションは大切です。
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